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誰でもいいから話を聞いて欲しい。
そう思って会社の後輩女子と熱海城へ。
ロープウェイに乗るとあの日のことが蘇る。
会社のイケメン後輩と
二人っきりで夜景を見に来た夜のことだ。
「その若い男子は誰?」
突然、元彼の甘く低い声が響いた。
この登場はほとんどドラマ。さすが熱海だ。
答えられないワタシ。
まだ未練がある自分自身に驚いた。
こういう悩みを話すのに意外と熱海は似合う。
「先輩、聞きましたよ、あの話〜
ここが現場ですねぇ〜」
コイツを頂上の秘宝館に置いて帰りたい、
そう思う春の熱海だった。
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誰も信じられない。
後輩女子に悩みを笑われて、というより
何であの夜のことを知っているのか。
誰が話をしたのか。
そうか、アイツだ。 元彼だ。
後輩女子に元彼との関係を問いただした時の一言をまた思い出した。
「私たちいつも一緒にいるんですぅ〜」
ドラマのように最後の「ですぅ」が
何度もリフレインする。
こういう時は、和田たばこ店で
駄菓子をつまみながら
レトロゲームに怒りをそっとぶつける。
怒りを「そっと」ぶつけるのは
この機械が古くて大切なモノだから。
そして大抵、負けて終わる。
恋もゲームもそんなものだ。
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後輩女子から話したいことが
あるというのでビーチへ。
熱海の暑い夏は始まったばかり。
照りつける太陽を避け路地に入り
氷の暖簾を見つける。
熱海は意外と氷を売る店が多い。
「先輩、氷おごってあげますょ〜」
コイツ、イラっとくることもあるけど
これで結構カワイイ所もある。
「先輩に相談したいことがあるんですぅ」
何、何だろう?
暑さが心地いい夏の熱海だった。
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早朝のサンビーチはハワイのよう。
ジョギング、犬と散歩、海を眺める、
みんな思い思いに過ごしている。
意外と自由だ。
「先輩、実はワタシ、
イケメン後輩と付き合っているんです」
どういうこと!?
ワタシの元彼といつも一緒にいるのに
イケメン後輩とも付き合っているなんて。
そこへ、元彼がドラマのように突然登場。
「知っていたよ」
知っていたってどういうこと…。
他人のピンチはワタシのチャンス!。
貫一お宮の銅像が視界にチラつく。
期待感で一杯のまま、秋の熱海に。